中高年はパソコンを使おう、認知機能の維持に役立つかも?

中高年はパソコンを使おう、認知機能の維持に役立つかも?

年齢を重ねても、パソコン操作やゲーム、社会参加などを通じて脳を活性化させていれば、記憶力の低下を回避できるかもしれない。そんな研究結果が、米メイヨー・クリニックの精神科医であるYonas Geda氏らにより示された(詳細は、「Neurology」2019年7月10日オンライン版に発表された)。

85歳以上は4人に1人が認知症に!(厚生労働省)
高齢者の4人に1人は軽度認知障害(MCI)もしくは認知症であるといわれています。厚生労働省の発表によると、65歳以上70歳未満の有病率は1.5%、85歳では27%に達します。日本における65歳以上の認知症患者はすでに240万を超えているという推計もあります。さらに団塊世代が65歳以上になる2015年には250万人、2020年には300万人を超すと推定されています。高齢社会の日本では認知症が今後ますます重要な問題になることは明らかです。

▶米国の著名な総合病院「メイヨー・クリニック」の精神科医Yonas Geda氏らは、同院の加齢研究データ(MCSA)に登録された非MCIの男女2000人(男女比は1対1、平均年齢78歳)を対象に、5年間の追跡調査を実施し、脳機能に刺激を与える行動とMCIとの関連を調査した。

▶参加者は登録時に自身の中高年期(50~65歳)66歳以降の高齢期に(1)読書、(2)パソコン作業、(3)社会参加(友人との交流、映画を見るなど)、(4)アナログゲーム(トランプやクロスワード)、(5)裁縫や陶芸などのクラフト作業を行っていた頻度について回答(月に2、3回以下では「従事した」とはいえず、少なくとも週に1、2回以上で「従事した」と定義)。

▶最終データを解析した結果、中高年期にパソコンを使用していた人は非使用者に比べ、MCIの発症リスクが48%と大きく低下。高齢期に使用していた人では30%、中高年~高齢期では、37%のリスク低下が認められた。また、中高年~高齢期を通して友人との交流やゲームを楽しむ機会が頻繁にある人は、MCIリスクが20%低下した一方、クラフト作業のリスク低下効果は、高齢期に従事していた場合にのみ認められた(42%低下)。ただし、本研究は観察研究なので、これで精神的活動=MCIの予防手段と証明されたわけではない。

▶「コンピュータ操作」は、どの時点で行っていても、MCIリスクの低下に関係していた。「社会参加」と「ゲーム」は中年期以降継続している場合に、「ハンドクラフト」は高齢期に実施した場合に、MCIリスクの低下に関係していた(表1)。

中年期・高齢期とも効果ありそうなのは「コンピュータ操作」だ。また、指先は「第二の脳」「外部の脳」とも言われ、手をよく使うことで、大脳の約1/3の領域を刺激するとも言われている。

※メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)は、アメリカ合衆国ミネソタ州ロチェスター市に本部を置く総合病院。大規模な総合病院であるにもかかわらず、「クリニック」という名前がついていることから小さな診療所を想像しがちであるが、この名は初期のメイヨー・クリニックが小さな診療所として始まったということからきている。附設のメイヨー医学校も含め、メイヨー・クリニックは国内外で高い評価を受けている医療研究機関で、収益面ではブルー・クロス・アンド・ブルー・シールド協会に次いでミネソタ州第2の非営利組織である。

※PDF版:中高年はパソコンを使おう、認知機能の維持に役立つかも?